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なろうオススメ小説『図書館ドラゴンは火を吹かない』レビュー

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作品名: 図書館ドラゴンは火を吹かない

作者名:東雲佑 様

図書館ドラゴンは火を吹かない 過去の鮮やかな記憶と現実の虚しさ

物語は主人公である親友が残した図書館を、ヒロインであった火竜のリエッキが護るところから始まります。

しかし永い時を経て、一人で図書館を護り続ける彼女の心は、色を失ってしまいました。過去の鮮やかな記憶を思い出しては、現実の虚しさに襲われる日々。

そんな彼女の元に、ある二人の人物が訪れます。そうしてまた物語は時を刻み始めるのです。

火竜である彼女との出会いに始まり、『呪使い』ある『左利き』との闘いの日々。魔女の森で育った純朴で心優しい主人公がどのようにして『魔法使い』に至ったのか?

多くの魅力的な『魔法使い』たちが織りなす物語と『呪使い』との長年の確執は必見です!

語り部と三人称視点が織りなす二重構造による物語

物語は、『語り部』と三人称視点で語られます。

この二重構造により物語は過去と現在を行き来し、いつの間にかより深い物語の中に誘われていきます。

卓越した文章力と独特の構造により、時間軸の移り変わりは、まるで魔法にかけられたように美しく。作者様こそが『物語の魔法使い』に違いありません(きっと)

情景描写は雄大でありながらも柔らかく。まさしく絵本の中の物語のような美しい情景が思いおこされます。

登場人物の心情描写は緻密かつ繊細に。特に火竜であるリエッキの心の在り方は人間たちとは大きく異なります。

彼女の気持ちの移り変わりも過不足なく描かれています。彼女が物語中で「どうしてあのような……」と思うような行動を取ったのかも、十分な理解とともに読み進めることができました。

物語の中の物語。

ファンタジーの中のファンタジー。

特に奇をてらうような仕掛けはなく。

主人公同様、そのまっすぐな特性が。
圧倒的なまでに突き抜けた物語性が。

この物語を比類するもののない傑作にしている、と。私はそう思います。

この素晴らしい作品をもっと多くの人に知ってもらいたい!

文章力・構成力・情景描写・心情描写。どれをとっても素晴らしい作品であることは間違いありません。

『小説家になろう』内のレビュー数の多さもそれを証明しています。にも関わらず、総合評価は1万台(2018年12月現在)に留まっています。

もちろん点数が物語の出来そのものを左右するわけではありません。しかしこれほどまでに素晴らしい作品です。あなたもぜひ一度、手に取ってみてください。

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なお完結はしていませんが、物語は一応の区切りを見せています。完結済のおすすめ作品ランキングも作成していますので、よかったらついでにどうぞ。