『小説家になろう(小説を読もう)』で私が大好きなオススメ作品をランキング形式で紹介していきます。
連載中のものを含めると絞るのが難しくなるため、完結済の作品に絞らせていただきました。
すべて個別にレビューを書いています。気になった作品があれば読んでみてください。
目次
第一位 転生!異世界より愛をこめて
作品名: 転生!異世界より愛をこめて
作者名:弁当箱 様
文字数:477,348文字(完結済・続編あり)
書籍化:あり
唯一、第1話で大笑いさせられた作品
物語の冒頭というのは、とても難しいものだと常々思います。
小学校などで作文の最初の一文がまったく書けずに時間だけが過ぎた記憶はありませんか?
第1話が面白くなければ、回れ右をして、そのまま作品から離れてしまうこともあります。
それだけ第一話というのは大切で難しいものだと思うのです。
(このブログがそうでないことを祈ってます……)
その点この作品は、王道的な出だしであるにも関わらず、作者様の作品に対する熱量と勢いに圧倒されてしまいました。
『こんにゃく』のくだりは腹をかかえて笑いました。残念すぎるw
しかし間違いなく「久々に素晴らしい作品に出逢えた!」と確信しました。後にも先にも、第一話で大笑いさせられた作品は他にはありません。
『喜怒哀楽』感情の全てをぶち込んだ作品
物語の前半部分はパロディネタも多いです。ヒロインとやり取りをしながら、コミカルに話が進んでいきます。ほんとニヤニヤします。
中盤からは、サブヒロインが登場する一方で戦いは激しさを増していきます。
終盤に差し掛かる第8章で、物語は大きな転機を迎えます。哀しみに暮れる主人公の苦悩が闇から這い寄るように伝わってきます。
物語終盤については、賛否両論あると思います。
実際に私も「ん?」と疑問に思うところもあったりします。ただ相棒ティルファングの激戦。そして嘘。第8章の鬱憤を晴らすかのような勢いは、込み上げるものがあります。
それにこの展開もこの作者さん(弁当箱さん)に限って言えば、『らしいのかなぁ』と。作者さんの人柄については、作者さんのマイページの活動報告を見てもらえれば……。
続編もあるよ!!
そんなこんなで物語は一度完結を迎えるのですが、
『拝啓、息子より愛をこめて』という続編が連載中です。とてもとても気になるところでエタっていますが……
物語の後の平和な日常であったり、払拭できていなかった部分が払拭されていたり、いなかったりと。
相変わらずこの作者さんらしいなぁと思い、ほのぼのとした気持ちで読ませていただきました。
ただ全体としては間違いなく名作の部類に入ると思いますし、読んでよかった!と思える作品であることは自信を持って言えます。
[itemlink post_id=”3498″]第二位 メイデーア魔王転生記
作品名:メイデーア魔王転生記 〜俺たちの魔王はこれからだ。〜
作者名:かっぱ同盟/友麻碧 様
文字数:1,721,483文字(完結済 後日談少しあり)
書籍化:あり(2巻まで。残念……)
あらすじ 想いは時を超えて……
昔々、君臨していた三人の魔王は現代の日本人に転生し、「前世懺悔同好会」を設立しました。
人並の高校生活を満喫していた三人ですが、そこに前世の勇者までもが転生してきて、同じことの繰り返し……。
さらに転生し元の世界に戻った三人ですが、その世界では2000年の月日が流れていました。
とりあえず第一章の35話まで読みましょう!
序盤は、よくある異世界転生もののように、それぞれが異世界に転生し、ほのぼのとした時間が流れていきます。
その中でも特に印象的なのが第一章の35話。
主人公のトールとマキナのとてもくだらないやりとりです。元魔王がなにをやってんだ、というレベルでしょーもないお話です。
しかし私はここまで読んで、この作品を最後まで読むことを決意しました。
二人の仲の良さが伝わってきてとてもほのぼのとしましたし、このような優しい気持ちにさせてくれる作品はとても稀です。この作者様の描く話の続きがとても気になりました。
余談ですが作者様の別作品でも、主人公たちの名前は引き続き使われており、登場人物達に対する深い愛情が伝わってきます。
魅力的なキャラクター達
そんな作者様の愛情を受けて作られた登場人物たちは、みんなとても個性的でキャラクターが立っています。多くのキャラクターが登場する本作ですが、それぞれの登場人物たちにそれぞれの歴史と物語があります。
そのバックグラウンドが登場人物達の行動と考え方に深みを与えており、とても魅力的なものにしているように思います。
物語は主に主人公であるトール・マキナ・ユリウス三人の視点で語られていきます。
個性的な三人の視点で語られる物語は、笑いあり、涙あり、驚きありで飽きがきません。170万文字を超える本作ですが最後まで楽しめます。
壮大な世界観 アニメ化して欲しい作品ナンバー1
物語が進むにつれ、抱いていた謎は少しづつ解明されていきます。
それと同時に本作の壮大な世界観。圧倒的なスケールで語られる物語が徐々に明らかになっていきます。
読めば読むほど、本作の作りこまれた世界観は感嘆の一言。
物語はすでに完結していますが、
『小説家になろう』の作品をどれか一本アニメ化できるとしたら?と聞かれたら、私はこの作品を挙げたいと思います。
[itemlink post_id=”3499″]第三位 予言の経済学
作者名:のらふくろう 様
文字数:1,036,773文字(完結済 後日談あり)
書籍化:なし
現代の経済知識を異世界に上手く織り込んだ傑作
私も大学時代は、なんちゃって経済学部でした。2年生以降はほとんど行っていませんが(笑)
あ、一応4年で卒業できましたよ!単位ギリギリでしたが……。そんなわけでタイトルを見て、どんな作品だろう?と思ったのが本作を読み始めたきっかけです。
タイトルには漢字が多く経済学という単語から、少しお堅い印象を受けるかもしれません。しかし内容のほうはというと。ぜんぜん。まったく。そんなことはありません。
経済学を知らない人でも大丈夫!現代の経済学の知識を異世界に上手く織り込んだ傑作です。
なにが起きるか予測できないため、貴族や王族などという『ボラティリティー』が高い人間とは関わり合いになりたくないと豪語する主人公。
その割に脇が甘く、お姫様に対してなんだかんだと世話を焼いてしまいます。(幼馴染には「策士を気取っている割にチョロい」と評される始末……)
物語は未来の災厄を『予言』という形で予知した姫に主人公が巻き込まれていく形で始まります。
姫が『予言』という形で見えた、漠然としたイメージ。
それに現代の経済学の知識や統計から、起こりうる事象を検証していきます。そうして曖昧な予言は、仮説と検証を繰り返し、確かな情報としての価値を持つことになります。
異世界に対する現代知識のアプローチの仕方が絶妙に上手い
物語が進むにつれ、経済学・商学・生物学など様々な知識が出てきます。
それらの知識については作中で丁寧に説明されており、ファンタジーな世界観と見事に融合しています。
そして作者様の異世界に対する現代知識のアプローチの仕方が絶妙に上手い。なのでちょっとした専門知識も、すんなりと頭に入ってきます。
全体的に高いレベルでまとまった作品
文章力、物語の展開に伏線の回収、魅力的なキャラクター達。
主人公を取り巻く恋愛模様には、しっかりと着地できるのか少しハラハラさせられました。
しかし、それも無事に着地させることができてなにより。
文章・物語の質を落とすことなく最後まで描かれており、盛り上げるべきところでは、しっかりと盛り上がりを見せます。
『セントラルガーデン』の面々とのやりとりも大好きです。後日談では彼らの奮闘が描かれており、本編とは違う群像劇風の展開でこれも満足できる内容でした。
どれをとっても高いレベルでまとめられている傑作です。
第四位 カルマの塔
作品名:カルマの塔
作者名:富士田けやき 様
文字数:1,728,270文字(完結済 続編あり)
書籍化:なし(書籍化して欲しい……)
『持たざるもの』が全てを喰らう物語
ある王国のスラム街の一角に貧しい姉弟が住んでいました。
貧しい生活ではあるものの、姉と弟は仲睦まじく、そこには少しばかりの幸せと呼べるものがありました。
しかし、ある日姉は貴族に買われていってしまいます。引き離された姉の幸せを願う少年でしたが……。
そうして主人公は、初めての『業(カルマ)』を背負うのです。
異世界戦記モノ 復讐から信念へ
ジャンルとしては異世界戦記に該当すると思いますが、他の戦記モノと違い、本作はかなり異質な作品になっています。
もちろん戦記モノとして読んでみても素晴らしいです。二つ名持ちは、まさしく英雄に相応しい人物ばかりです。
魅力的な登場人物が多く、どちらの陣営が勝つか最後まで分かりません。
特に相手勢力 対 相手勢力の戦いなど、本当の意味でどちらが勝つのか分からないので最後の瞬間まで目が離せません。
そして多くの戦記モノが、主人公が活躍し成り上がっていきます。その過程で仲間との絆を築き、幸せを手に入れていく。そこに読者は大きな満足感であったりカタルシスを感じ、読者を魅了するのでしょう。
しかし、本作は全くの逆。
暗い情念に取りつかれ、意地汚く戦場を駆け抜けます。力を手に入れても、今度は己の在り方に苦悩し苛まれます。
主人公は成長していきます。
心も体も。復讐から信念へ。
そうして己の成すべきこと。『業(カルマ)』の先にある道を探します。
暗い輝きに寄り添う女性たち
もちろん主人公だって人間です。人間でした。本質的には、誰よりも優しい性格の人間だったはずです。
彼は姉に、誰よりも愛情を感じていました。慕われることに情が沸くこともあります。
この女性となら上手くいくんじゃないか?このまま幸せになれるんじゃないか?そのような場面も物語のところどころに出てきます。
今度こそ幸せになってほしい……!
そう願いながら、物語を読み進めます。
しかし誰も幸せにはなれないのでしょう。そもそも幸せにしたかった人は、もうこの世にいないのですから……。
辿り着いた場所 『カルマの塔』
それでも主人公は戦い抜きます。
何故そうまでして闘い抜くのか?なにが彼にそこまでさせるのか?
そこに込められた暗い情念と信念に身震いします。堕ちるところまで堕ちた主人公を美しいとすら思います。人間らしからぬ精神性には、一種の神々しさすら感じます。
堕ちるところまで堕ちて。そうして辿り着いた場所が『カルマの塔』というのも皮肉な話です、本当に。
万人受けする作品ではないが、本作にしかない暗い輝きがある。
内容的に万人受けする作品ではないのは、重々承知しています。
しかし、それでも本作にしかない唯一無二の暗い輝きを感じてほしいと思いレビューを書かせていただきました。
続編である『カルマの塔【継承編】』も連載中です。
※いろいろあって『小説を読もう』から削除されてしまいました。現在はカクヨムで続編が再開されています。
第五位 転職の神殿を開きました
作品名:転職の神殿を開きました
作品名:土鍋 様
文字数:1,677,281文字(完結済 後日談あり)
書籍化:あり
転職の神殿を開きました 9999人の『村人』と1人の『ジョブ』持ち
あなたはRPGをしたことは、ありますか?
私はRPGが大好きで、子供のころは一日中していたものです。そんな私にとっては、本作は『転職』や『ジョブ』を深く掘り下げたドストライクな作品です。
この物語の世界では、生まれ持った『ジョブ』が運命を分けるといっても過言ではないでしょう。
『ジョブ』を持って生を受けるのは、1万人に1人。9999人の『村人』と1人の『ジョブ』持ち。
しかし、そこには努力や才能では埋められない圧倒的な力の差が存在します。
主人公は『転職屋』 ジョブを与える側の能力
そんな『ジョブ』が圧倒的な力を持つ世界に転移した主人公。彼はまさかのジョブを与える側の能力、いわゆる『転職』の能力を持っていたのです。
もちろん、この異端な能力は様々な軋轢を生んでいきます。
そして多くの『ジョブ』持ちが生まれることは、今まで保たれていた軍事バランスの崩壊も意味します。
彼の特殊な能力を巡り様々な組織が暗躍し、最終的には世界そのものを巻き込んでいきます。
決して万能チートではない能力
主人公は珍しい能力を有していますが、万能チートか?と問われると、そんなことはありません。
主人公の能力は、あくまでも能力を与える側の能力であり、奥の手はあるものの決して戦闘が得意なわけではないのです。
無二の能力を持つものの、無敵ではありません。
戦闘になると途端に空気になる主人公(笑)
しかしそこは彼が能力を与えてきた仲間たちがカバーします。万能ではないからこそ、仲間たちが活躍し輝く場面がある。
このバランスの良さが最後まで安定した物語を提供してくれます。
主人公の能力の根拠としっかりとした世界観
最初は『転職』の能力についても、ありふれた転生チート特有のものであり、根拠もなにも期待していませんでした。
しかし本作では、それらの理由がしっかりと説明されており、なおかつ納得がいくものになっています。
これほどチートや能力について説得性がある説明も珍しいというか、他にはないんじゃないかと思うほどです。
しっかりとした世界観が根底にあるからこその説得力は脱帽です。主人公の能力の根拠や世界観だけでも、本作を読む価値は大いにあると思います。
[itemlink post_id=”3500″]第六位 世界樹の上に村を作ってみませんか
作品名:世界樹の上に村を作ってみませんか
作者名:氷純 様
文字数:1,026,500文字(完結済)
書籍化:あり
幻想的な世界観が童心を呼び起こす 世界樹の上で『暮らす』
これはタイトル買いというか、タイトルを一目見て絶対に面白い!と思って読み始めた作品です。
『世界樹』というゲームや漫画が好きな人間にとっては、親しみ深い題材。昭和な私は『世界樹』と聞くと、『暮らす』というよりも冒険の末に『辿り着く』といったイメージが先に来ます。
物語は転生者である主人公が巨大な世界樹の枝の上にある村で、成人式を迎えるところから始まります。
独自の世界観が素晴らしい
人々は、大きな世界樹の枝々で町や村、果ては都市を作り生活を営んでいます。
世界樹の上での生活。想像するだけで、ワクワクしてきませんか?
舞台は雲ができる高さを基準にして、雲上ノ層、雲中ノ層、雲下ノ層と三つの層に分かれています。層によって、気候や気温が違うので特産物なども変わってきますよね。
そして三つの層全てにまたがる巨大な都市を『摩天楼』と呼び、この世界では特別な意味を持つ存在なのです。
主人公は前世では都市開発に携わっており、無念の内に転生したことから自らの手で『摩天楼』を作ることを目的としています。
そうした経過から主人公は『建築家』、そしてその上位職である『建橋家(ケンキョウカ)』の資格を得るため生まれ育った村を出ていきます。
ただ『建築家』といっても、私たちが暮らす世界の『建築家』とは少々意味合いが異なってきます。
なぜなら、彼らは世界樹の枝の上で暮らしているのですから。
いくら太い枝の上に住んでいるといっても、当然に支えられる限界重量というものは存在します。
エレベーターのような安全装置はありません。もしも枝が折れてしまえば、木の根元まで真っ逆さまです。
そんなわけで、この世界の『建築家』というものは、難関の資格取得試験に合格しなければならないのです。
さらに!
先ほど『建橋家(ケンキョウカ)』という耳慣れない言葉が出てきました。『建橋家(ケンキョウカ)』とは、枝と枝の間に橋を架けることを生業とした人たちのことです。
当然、樹上の枝々で生活をすると流通の面で大きな問題が発生します。町と町を行き交うには、太い幹まで戻らなければなりません。故に人々は枝と枝の間に橋を作り、流通網を発展させていったのです。
もちろん『建橋家』の試験は、『建築家』の試験に輪をかけて難しく多くの人が数十年の歳月をかけてようやく取得することが出来るレベルです。まずは試験に合格することが主人公の夢の第一歩となります。
物語が完結するまで毎日更新 物語の主人公に通じるものがある
作者様は物語が完結するまでは毎日更新を続けておられました。物語が完結した後の後日談も毎週必ず更新されておられました。
着実に一歩一歩、歩んでいかれるその姿はどこかこの物語の主人公に通じるものがあるかもしれません。
[itemlink post_id=”3501″]第七位 10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた
作品名:10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた
作者名:坂東太郎 様
文字数:1,947,003文字 (完結済・ifストーリー連載中)
書籍化:あり
なろうでよくあるタイトルからは想像できない感動大作
正確なタイトルは、『10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた』
とても長いので、作者様も『10年ニート』と略しているようです。
多くの方が読まれており、レビューもたくさんありますが、私も本作が好きですので、筆を執らせていただいた次第です。
本作は、なろうでよくあるタイトルとは裏腹に読んでいてとても心安らぐほのぼのとした作品になっています。
タイトルで食わず嫌いをされている方は、騙されたと思って、読み進めていただければと思います。
あらすじはタイトルのまんま、引きニートをしていた主人公が異世界へ飛ばされて、サバイバル生活を与儀なくされます。
異世界へ飛ばされたのは主人公ならず、家までも。あとコタロー。
そして家の周りには謎バリアー(笑)
そして、なんといってもインターネット。これが一番の特徴といっても過言ではないでしょう。
踏み出す一歩と掲示板
本作のカギはインターネットが握っています。幸いインターネットが繋がったことで、巨大掲示板に書き込み、意見を募る主人公。
同じ状況に陥ったら、私も同じ行動を取ると思います(笑)
最初はみんな半信半疑でした(当然)
しかし、異世界やゴブリンの動画をアップするとみんな次第に「本物じゃないのか?」と信じ始めます。
この過程や掲示板の盛り上がりが、なんとも言えない雰囲気、祭りの前のような。そんな雰囲気を醸し出していて、とても好きでした。
主人公と異世界の住民たち 善人ばかりのほのぼのライフ
異世界へ飛ばされ1年が過ぎ、2年が過ぎ、その過程で主人公はいろんな人と出会います。
アリスちゃんや戦う行商人さん。獣人の家族。領主様。
波乱はあるのですが、基本的にみんないい人ばかりです。安心して読み進めることができ、とても優しい気持ちになれる物語です。
主人公と掲示板の住民たち 個性的な面々
『掲示板回』をはさみながら、物語は進んでいきます。
私は『掲示板回』がとても好きです。
いつも『掲示板回』がどのタイミングで挟まれるのか。ワクワクしながら本編を読み進めていました。
個性的な面々のやりとりは、本当に濃いです。次第にお互いが仲間意識を持ち、主人公を応援する住人達。この一体感がなんともいえず好きでした。
書籍版もあるが、原作をオススメします
これだけ人気の本作は当然、書籍化もしているのですが、私は原作の方を推します。
書籍版には序盤から新キャラクターである従妹が登場し、一緒に異世界に飛ばされます。
本作はタイトルの通り、異世界に飛ばされた『引きニート』の物語です。異世界と掲示板の住民たちとの交流を経て、お互いに成長していく物語です。
そこに序盤から可愛い女子高生の従妹が登場し、一緒に異世界で生活する。
物語の主旨を考えると、少し違うんじゃないかなと思います。
お布施の意味で書籍版を買うのはありだと思いますが、本作の主旨を考えると原作版を読むことをオススメします。
掲示板住民たちが揃って異世界に転移するIFルートも連載されています。
まるで全話『掲示板回』のようなお祭り感です。
[itemlink post_id=”3502″]第八位 ドラグーン
作品名:ドラグーン
作者名: わい/三嶋 与夢 様
文字数:884,192文字(完結済)
書籍化:あり
幼き日の出会いと運命
主人公は、とあるゲームの中で本来は一脇役に過ぎませんでした。
もうすぐ5歳になる主人公は、公爵家の長男でありわがままで横暴な、絵に描いたように無能な男の子でした。(なろう小説によく出てくる、典型的なかませ貴族の息子といった感じの)
しかし、そんな主人公が幼き日に『ドラグーン』を見たことから、物語は本来のゲームとは違う運命を辿り始めます。
歴史の強制力と世界にあらがう姿に胸を打たれる
彼はあの日見た『ドラグーン』になるために改心し、態度と生活を改めます。しかし、これまでの行いから周りの人間は主人公に対して冷たく非協力的です。
主人公はめげずに努力を続けますが、一向に状況は改善されません。不憫な主人公の境遇に憤りを感じますが、これには理由があります。
本来は脇役として消えていくべきルーデルには、歴史の強制力とも言える力が働き、世界から嫌われる宿命にあるのです。
もちろん世界の内に存在する主人公は、そんなことなど知りません。しかしそれでも主人公は努力を続けます。それはもう一途に。ひたすら。
そうしていく内に、少しずつですが周囲が変わっていきます。
愚直さと真剣さで、多くの苦難を乗りこえ、運命に抗う主人公。その姿には、とても胸を打たれるものがありました。
『脇役』であったはずの主人公 『転生者』である主人公だったはずの男
この二人の対比は、この作品の重要なテーマの一つだと思います。また他の多くの作品に対するアンチテーゼでもあるとも感じます。
『転生者』であるアレイストは、この世界が元の世界ではゲームの世界だったことを知っています。そして多くの作品の例に漏れず、多種多様なチートを引っ提げてこの世界へ転生してきました。
等身大の現代っ子である『転生者』は、もしかすると一番、感情移入がしやすいかもしれません。
テンポよく読める名作
全体的にシリアスとギャグのバランスが良く、非常にテンポよく読めます。
熱い場面は少年漫画のように熱く、感動的な場面には涙してしまうこともありました。
物語のテーマも一貫して夢である『ドラグーン』を中心に描かれており、ブレがありません。
大人になってから忘れがちな夢や希望を思い出させてくれるステキな作品です。
[itemlink post_id=”3503″]第九位 ノーリグレット!
作品名:ノーリグレット!
作者名:田中一義 様
文字数:1,820,519文字(完結済 続編あり)
書籍化:なし
知名度と面白さは必ずしも比例しない良い例
笑いあり、感動ありの良作なのですが、残念なことにあまり知っておられる方がおりません。
というのも、なろう小説では主に異世界転生モノが主流であり、人気でもあるのですが、パッと見、タイトルからは異世界感が漂っていません。
これが本作の知名度が低い理由なのではないかと思います。
確かに知名度が高くレビューが多い作品の方が安定して読める作品が多いのも確かですが、それが全てではありません。
知名度と面白さは必ずしも比例しないので、ぜひ一読いただければと思います。
リグレットというのは英語で『後悔』や『無念』の意味。つまり『後悔しない!』という、一度本作を読んでしまえば、本作の主人公をよく表したタイトルだと納得することでしょう。
そして本作も読めば、後悔することなく! 最後まで楽しめるものだと信じております。
物語の始まりは 「じーじ、すげぇ!」
主人公は貴族の家に生まれますが、いきなり捨てられてしまいます。
捨てられた赤子の主人公は、漁師の老人に拾われ育てられるのですが、この老人がとてもいい味を出しています(笑)
まさしく「じーじ、すげぇ!」です。
魅力的な登場人物達
じーじをはじめ、領主であるオルトにしろ、その従者のエルフにしろ、学校で出会う生涯の友人や弟子たちにしても。
とにかく本作は、魅力溢れる登場人物ばかりです。誰にしても存在感がハンパないです。
物語は主人公や周りの登場人物の心情を丁寧に描きながら進みます。非常に感情移入しやすいですし、みんなキャラが立っています。
なので、誰が登場しても「一波乱あるんだろうなー」と思いながら読んでしまいます。
ちなみに私はマティアス坊ちゃんも好きですが、一番好きなのはリアン・ザ・フリーダムです(笑)
全身全霊を賭した最終決戦
物語のクライマックスでは、仲間が全身全霊を賭して戦います。まさに『全身全霊』という言葉に相応しい闘いについても、本作ならではの手法が取られています。
内容については、ぜひ読んでいただければと思います。
最終決戦後は後日談も用意されており、主人公や仲間たち、それにあの子の未来も描かれています。
既に完結しており、荒削りな部分もある本作ですが、素晴らしい作品です。
第十位 ロスト=ストーリーは斯く綴れり
作品名:ロスト=ストーリーは斯く綴れり
作者名:馬面 様
文字数:1,379,902文字(完結済)
書籍化:なし
名もなき青年が名を残す物語
主人公、アウロス・エルガーデンは魔術師として大学で研究を重ねていました。
魔術の出力プロセスを簡易化し高速で発動する、かつて数多くの研究者が挑み、夢破れた研究。今となっては一攫千金論文と呼ばれる夢物語のような研究に、アウロスは挑んでいました。
そんなある日のこと、アウロスは大学から解雇されてしまいます。しかも魔術師の身分まで剥奪されました。これでは研究ができません。
「夢を叶えることはできなくなった」 そんなアウロスの前に一人の男が現れます。
その男の名はミスト、彼との出会いがアウロスの運命を大きく変えることになります。
そうして魔術界を揺るがすことになる戦いの日々が幕を開けたのです。
魔術の研究に焦点をあてた稀有な作品
舞台となるのは魔術国家デ・ラペーニャ、アランテスを祖と崇めるアランテス教が力を持つ国です。
面白いのは魔術をテーマとしていながら、根底にあるのは戦いではなく、研究という点です。通常、ファンタジー作品における魔術師と言えば、戦いを生業とするものが多いです。
しかし本作における魔術師は研究を生業としている者が圧倒的に多く、戦闘タイプではありません。もちろん中には戦闘を得意とする者もいますが、ごく少数です。
魔術師を研究者としたことで、本作は他にはない独自の世界観を構築しています。
研究がテーマである以上、魔術の説明も理論的でこの世界だからこその背景や文化の発展なども見ごたえがあります。
設定が非常に練られた骨太なファンタジー。それがロストストーリーです。
圧倒的な頭脳戦 それぞれの思惑と陰謀
本作には腹に一物を持った奴らが数多く登場します。
それぞれのキャラに思惑があり、目的のためには手段を選びません。誰が敵で誰が味方か、陰謀渦巻く骨太なストーリーに釘付けになります。
ほとんどの登場人物が頭の回転が速く、一筋縄ではいかないキャラばかりです。
もちろん主人公のアウロスも洞察力や観察力に優れ、誰もが思いつかない策を講じる頭脳の持ち主です。
魔術師として最低水準の魔力しか持っていないという点も良いアクセントになっています。
この設定があるからこそアウロスの頭の良さが際立ち、弱いからこそ頭脳戦や心理戦で格上と渡り合う面白さがあります。
主人公も登場人物の中でも頭は良いほうですが、負けず劣らぬ頭脳の持ち主がたくさんいます。彼らの舌戦や心理戦、頭脳戦が本作最大の醍醐味といっても過言ではありません。
設定だけではない本物の賢さが描かれており、魔術ファンタジーものでここまで策謀渦巻くものは見たことがありません。
いつ書籍化されてもおかしくないレベルの傑作です。
第十一位 嘘つき戦姫、迷宮をゆく
作品名:嘘つき戦姫、迷宮をゆく
作者名:佐藤真登 様
文字数:698,597文字(完結済 後日談あり)
書籍化:あり
典型的なダメダメ貴族令嬢が迷宮に挑む
典型的なダメダメ貴族のお嬢様が、世界一の冒険者に決闘を挑み、完膚なきまでに叩きのめされるところから物語は始まります。
貴族の恥さらしとして、家を追い出される主人公のリルドール。なんとか武の道で成り上がろうと、冒険者になるためにギルドに向かいました。
そこで同じく新たに冒険者になろうとしていたコロと出会います。後々、世界を巻き込んで世界を乗り越える運命の出会いを。
武器は5本の縦ロール 冗談みたいな設定から生み出される熱い展開
本作の一番の見どころは、なんといっても熱いバトル。主人公のリルドールは、縦ロールの髪を自在に操り迷宮を探索します。
必殺技は5本の縦ロールをまとめ、ドリルにして放つメテオ・ロール・ストリーム。
そう、ドリル。ぐるぐる穴を掘る、あのドリルです。字面だけを見るとギャグなんじゃないの?(笑)と思われそうですが、ところがどっこい。
「描き方次第では、ここまで格好よくなるんだ……」と思うほど、そのドリルがまたカッコイイ。
ロマン兵装といえばドリル、ドリルは漢のロマン。ロマンを詰め込んだドリルが敵を打ち砕きます。
漢のロマン。巨大なドリル。そう、あるアニメを思い出します。グレンラガン。私も大好きです。スパロボでは常に全改造。いつも第一線で活躍させています(笑)
少々脱線しましたが、作者様もグレンラガンが大好きなことを公言されています。作中やサブタイトルからもオマージュが散りばめられていますので、グレンラガンを知ってれば一層楽しめます。
新旧の英雄たち 魅力的な仲間たちとくるくるおじさん
私が一番好きなキャラクターは?
一番好きなキャラクター。う~ん、悩みます。
相棒のコロも健気でまっすぐで愛らしいし、セレナさんも素敵なのですが……。
やはり一番となると主人公のリルドールか、それともクルクルおじさんか……。
クルクルおじさん。名前の由来からしてふざけているけれど、これまたカッコイイんですよ。
基本はダメなおっさんにしか見えませんが(笑)
味方になったり、敵になったり、忙しいおじさんですが、とても魅力的なおじさんです。
本作をここまで魅力的なものにしているものは?
なぜ本作がこれほどまで魅力的なのか?それは『信念』にあると思います。
本作では主人公や仲間に『信念』があることはもちろんのこと、敵にもそれぞれの『信念』があります。
敵味方の『信念』がぶつかりあうからこそ、闘いは熱く盛り上がりをみせます。
信念・努力・熱血・浪漫。
まさしく熱作と呼ぶに相応しい物語です。
[itemlink post_id=”3495″]第十二位 魔王はハンバーガーがお好き
作品名:魔王はハンバーガーがお好き
作者名:28号 様
文字数:240,788文字(完結済)
書籍化:あり
一文無しの魔王様
勇者に負けたはずの魔王はなぜか、現代地球アメリカの荒野に立つハンバーガーダイナーの前に立っていました。
店の店主である少女に勧められて初めて食べたハンバーガーの味に涙するほど感激した魔王様。
当然の如く、お金を持っていない魔王様は無銭飲食の対価としてそのハンバーガーダイナーで働くことになり、少女にこき使われることに。
まったく恐ろしくないどころか、お人好しすぎるくらい純粋な魔王様。
ダイナーに集まる人たちに常識を教えられながら新しい人生を始めます。
しっかり者の少女(男運×)
本作は、しっかり者だけど男運はない少女と、少女の作るハンバーガーの虜になった天然魔王様が織りなす恋愛コメディ作品です。
物語は魔王様視点で進みますが、異世界の魔王でありながら彼の思考は素直で単純、そして優しさに溢れています。
異世界の魔王様がこんな残念キャラで良いの?と笑ってしまうほどに、魔王様の師匠となった少女と魔王様とのほのぼのとしたやり取りが微笑ましい。
時々邪眼ビームを出してしまう魔王様。しかし、ちびっ子ギャングのメンバーになったり、モンスターを従えているくせにホラー映画のジェイソンさんが怖かったりと、意外な一面も(笑)
魔王様と少女の恋の行方は?
初めは師弟関係だった魔王様と少女が、次第に心を通わせ、徐々に関係の変化が……。天然な魔王様が不意に見せる肉食な面や、テレを知らないような直球な言葉は必見です。
恋愛面で魔王様が少女を溺愛するシーンをサラリと盛り込みながら、ダイナーは平常運転。
日常を中心にのんびりと進むストーリーは、魔王様と少女を取り巻く個性的な登場人物たちによってさらに賑やかに彩られ、まったく飽きません。
少女の友人やご近所さん、ダイナーの常連客という現代組はもちろん。年老いてもなお正義感に溢れる異世界の勇者や魔王の配下であるモンスター。そして新たな魔王だというチビ魔王という異世界の面々も登場します。
のんびりとにぎやかに、時に甘く切なく。
ご存じかは微妙ですが、どこか『はたらく魔王さま!』というアニメを彷彿とさせます。今ならU-NEXT (一ヵ月無料)で配信中ですので、興味がある方はどうぞ。
[itemlink post_id=”3496″]まとめ
どの作品も、読めばなにかしら得るものがある傑作だと思います。
他にも『小説家になろう』の名作をジャンル別にまとめたりもしています。70作品ほどレビュー付きで紹介していますので、お時間がある方はぜひ。ちなみにこの記事まとめるのに二ヶ月ほどかかりましたw
あと中高生にぜひ読んでほしい異世界作品以外をまとめたり、複数の名作をもつ作者(著者)をまとめたりもしているので、よかったらついでにどうぞ。