戦記モノってしっかりと完結している作品が多いと思いませんか?
人と人。国と国。駆け引きや落としどころを描く必要があるため、必然的にプロットがしっかりと練られています。
そのためエタらずに最後までしっかりと描き切っている作品が多いのではないでしょうか。
完結していない作品も物語の着地点が既に見えており、安心して読める作品を厳選しました。
では紹介していきます!
カルマの塔
作品名:カルマの塔
作者名:富士田けやき 様
文字数:1,728,270文字(完結済 続編あり)
書籍化:なし
【あらすじ】
スラムで姉と仲よく暮らしていた少年。しかしある日、姉は貴族に買われていきます。
引き離された姉の末路は……。
それから年月が流れ、大人になった主人公。心にあるのは、復讐か信念か。
『白き復讐者』となった主人公が戦乱の世を駆け抜けます。
【レビュー】
他の戦記モノと違い、本作はかなり異質な作品になっています。
二つ名持ちは、まさしく英雄に相応しい人物ばかり!魅力的な登場人物が多く、どちらの陣営が勝つか最後まで分かりません。
特に相手勢力 対 相手勢力の戦いなど、本当の意味でどちらが勝つのか分からないので、最後の瞬間まで目が離せません。
大好きな作品なので個別に全力でレビューを書いています。詳細レビューはこちらから
火刑戦旗を掲げよ!
作品名:火刑戦旗を掲げよ!
作者名:かすがまる 様
文字数:962,599文字(完結済)
書籍化:あり
【あらすじ】
王国の窮地を救ったはずの男が、この世を去り幾年月。辺境の村に不思議な子が生まれる。
名はマルコ。軍を率いるその姿は、在りし日のある男を彷彿とさせるものだった。
【レビュー】
硬派で本格的な軍記モノ。眩いほどのカリスマ性を放つ主人公と主人公の元に集った仲間たちが戦場を駆け抜ける群像劇です。
これほど広大な物語にも関わらず、破綻させずに最後までしっかりと描き切ったのは素晴らしいの一言。
文章力・表現力も非常に高く、戦や内政の過程描写のみならず、人々の暮らしの風景描写や登場人物の内面描写もとても秀逸です。
日本語の美しさを改めて気付かせてくれます。テンプレ作品が食傷気味であれば、ぜひ読んでみてほしい作品です。
魔王の器
作品名:魔王の器
作者名:月野文人 様
文字数:1,857,848文字(完結済)
書籍化:あり
【あらすじ】
名門貴族の家に生まれながら、ろくに魔法が使えない主人公でしたが、ある魔族との出会いをきっかけに運命は大きく動き出します。
人を、国を、世界を巻き込んだ末にあるのは……?
【レビュー】
物語は主人公が幼い頃から時系列で語られていきます。
少年から青年へ。個人から公人へ。ときにはすれ違い、ときには共に戦い。少年時代から積み上げられた多くの出会いと別れ。
変わりゆく想いと立場は、心の葛藤や迷いを生み出し、より物語を深いものにしています。
基本的には戦記モノですが、少年時代の学園パートも大人になり切れない主人公たちが上手に描写されており、非常に面白いです。
辺境護民官ハル・アキルシウス(改訂版)
作者名:あかつき 様
文字数:880,890文字(完結済)
書籍化:なし
【あらすじ】
貴族との軋轢により、北方の辺境に飛ばされてしまう主人公。
右も左も分からない辺境の地で、太陽神の神官(美女)と過去の英雄(死霊)たちと一緒に復興させていく物語です。
【レビュー】
領地運営と戦記、ちょうど5:5といった割合の作品です。
メインキャラである神官の美女と英雄だった死霊がとてもいい味を出しています(笑)
領地を改善すると人が集まり、人が集まり豊かになると侵略され、侵略を防ぐために人を集め領地を更に改善していく。
こんな感じで物語が進んでいくので、まさに一口で二度おいしい作品です。
やる気なし英雄譚
作品名:やる気なし英雄譚
作者名:津田彷徨 様
文字数:1,088,907文字(連載中)
書籍化:あり
【あらすじ】
「王都のごくつぶし」「カーリンの昼行燈」などと散々な呼ばれようの主人公。
王都から田舎へ左官され、嬉々として楽隠居を決め込むものの……。
激動の時代が彼を放ってはくれず、歴史の表舞台に立たされることになるのでした。
【レビュー】
普段は面倒くさがりでテキトー。しかしいざとなったら誰よりも頼れる主人公。そんな普段の等身大の姿と頼れる後ろ姿のギャップが爽快感に拍車をかけます。
文章も分かりやすく、読みやすく、テンポよく。100万文字を超えている作品ですが、一週間ほどで最新話まで読み進めることができました。物語もついに終章に差し掛かり(2018年6月現在)結末が気になるところです。
戦記モノですが、他の作品に比べるとライトな印象です。戦記モノを読んだことがなければ本作から読んでみてはいかがでしょう?
ゴブリンの王国
作品名:ゴブリンの王国
作者名:春野隠者 様
文字数:2,253,560文字(完結済)
書籍化:あり
【あらすじ】
人だったころの記憶を持ったまま、まさかのゴブリンへ転生……。
弱肉強食。ゴブリンとして生きるうちに彼に芽生えた想いとは?
【レビュー】
最初から最後までゴブリン。たかがゴブリン、されどゴブリン。感情豊かなゴブリンたちが熱い想いとともに戦場を駆け巡ります。
人間でなくても(ゴブリン)魅力的なキャラは魅力的であることを私に痛感させた作品。王としての矜持を最後まで貫き通した主人公。まさかゴブリンに泣かされるなんて……
棺の魔王 (コフィン・ディファイラー)
作者名:真島 文吉 様
文字数:822,574文字 (連載中)
書籍化:あり
【あらすじ】
コフィンという「国」を守るために、持たざる英雄たちがテンプレ勇者たちに立ち向かう物語です。
【レビュー】
『カルマの塔』に並ぶ熱量を誇るダークファンタジー・戦記モノの傑作です。
好きな登場人物は?と聞かれたら、十人が十人それぞれ別の人物を答えると言えるほど、魅力的な登場人物ばかりです。
ストーリーの構成や戦闘シーンの描写も上手いため、このようなジャンルの作品が苦手な方でも楽しく読めると思います。むしろ、そういった方にこそ読んでほしい作品です。
ちなみに『少女シリーズをまとめてレビュー』でも紹介している